猫と暮らす上で大切なことは、互いにストレスのない環境を作ることです。癒しを求めて猫と暮らし始めたはずが、猫が原因でストレスが溜まる暮らしになっては元も子もありません。
ストレスを溜めないためにも、運動できる環境を
猫も人間と同様に、運動不足や退屈であることをストレスに感じます。しかし屋内ではなかなか満足できる運動スペースを確保することができません。屋外に出れるようにして、自由に動き回れるようにもできますが、あまり屋外に愛猫を出したくないという方もいるでしょう。
そこで考えたいのが「平面の運動スペース」ではなく「立体的な運動スペース」を確保することです。
猫は高いところが好き
猫(イエネコ)は木登りが得意な「リビアヤマネコ」が起源とされています。
本種が家畜化され、イエネコになったと考えられている。2007年に発表されたネコ属から採取した979組織のミトコンドリアDNAとマイクロサテライト遺伝子の分子系統解析では、共にリビアヤマネコとイエネコが同じ系統に含まれるという解析結果が得られたためリビアヤマネコを起源とする説を支持している[3]。
Wikipedia: リビアヤマネコより
また、元々待ち伏せして獲物を狩る種族が家畜化したため、獲物を発見しやすいように高所に登るようになったとも、外敵をいち早く発見し、優位性を示すために高所を好むともいわれています。
そのため、家の中でも猫が登れる高い場所を用意してやる必要があります。
キャットタワーを用意しよう
屋内で愛猫のために高所を用意する場合、キャットタワーを設置することがよりよい選択です。
猫が上り下りの運動をするために作られたアイテムですので、安全性や使いやすさ、爪とぎやくつろぐスペースにまで考えられて作られているものが多く、愛猫の年齢・自宅のスペースに合わせて選ぶことができます。
3種類のキャットタワー
キャットタワーには大きく分けて3つあります。
仔猫や小さな足場に最適なコンパクト型
高さが1m未満の小さなキャットタワーです。生まれたばかりの仔猫や、他の高い場所(キャットウォークなど)に登るための足場として使うことができます。
高さが1段程度ですので、爪とぎ台や寝床として購入し、キャットタワーに対する愛猫の反応を見るのにも良いでしょう。
設置場所を変えれる据え置き型
コンパクト型よりも大きく、3段程度の高さのあるキャットタワーです。一般的な猫が楽しめるようなバリエーションがあります。
つっぱり型と違って持ち運んで移動することができますので、季節や愛猫の反応を見つつ移動させることもできます。
ただし高さを確保しようとすると、足場を安定させるためにも必要とする床面積がより広くなります。また移動させる際の手間や重さもより大きくなることに注意してください。
高さを確保できるつっぱり型
最後に紹介するのは、天井にまで届く柱で突っ張る「つっぱり型」です。天井近くまで届く高さのキャットタワーなので、より高い場所に登れるようになります。
また、床と天井で支える形になるため、据え置き型よりもスペースを使わずに安定させることができます。
ただし移動させるにはタワーを一度解体する必要があり、定期的につっぱり棒の突っ張りを調整する必要がある点に注意してください。
屋内に高い場所を用意するメリット
また、高所を用意するメリットは飼い主にもあります。
1:想定外の場所に登られない
猫は運動能力がとても高く、1.5m程度までの高さであれば平気で飛び乗ることができます。そのため、家の中で登れる場所を自分で勝手に見つけて居場所にしようとするおそれがあります。
冷蔵庫やエアコン・カーテンレールの上といった危険な場所に登られると大変です。自宅で働く場合には、登られる度に仕事を中断して降ろしに向かう必要もあり、仕事の効率が下がってしまうことでしょう。
キャットタワーなどで「登ってよい場所」を用意してやることで、想定外の場所に入り込んでしまう可能性を減らすことができます。
2:省スペースで運動不足を解消できいる
猫は木登りなどの上下運動を好む動物です。平面で運動スペースを確保するよりも、キャットタワーなどで上下に運動できるスペースを用意する方が家のスペースを効率的に利用できます。
突っ張り型で天井近くまで登ることができるものでも、1m × 0.5m程度とケージや小型のPCデスク程度の場所で用意することができます。
3:可愛い
そして何より高いところでくつろぐ姿や、上り下りする姿はとても可愛いです。
ハンモックや部屋といった仕掛けが付いているキャットタワーであれば、その仕掛けに触れる愛猫を見るのもとてもよいものです。
キャットタワーを設置する際の注意点
キャットタワーを設置することがメリットだらけとは言えません。実際に設置して感じたことについてここから紹介します。
ほこり・糸くずゴミがよく出る
多くのキャットタワーは、柱が爪とぎポールを兼ねています。そのためキャットタワーの周辺には、麻縄の糸くずが散らばるようになります。
また、各段のステップ台についても抜け毛や糸くず・ほこりが溜まっていきますので、「キャットタワーを掃除する」という家事が発生することを念頭に置きましょう。
愛猫を捕まえることが大変になる
猫はなにか想定外の出来事が起きると、高いところや隠れられる場所で安全を確保しようとします。そのため、病院やお風呂に連れて行こうとするときにキャットタワーの最上段へ逃げ込むことが少なくありません。
つっぱり型など、自分の身長より高い場所まで登れるタイプのキャットタワーを設置している場合、愛猫を捕まえることができなくなる可能性があるということに注意しましょう。
自分の身長を一朝一夕で伸ばすことはできませんが、最上段に手が届く程度の踏み台を用意することで対策することができます。
飽きられると粗大ゴミになる
飼い猫あるあるですが、「そもそも受け入れられなかった時にゴミになる」というリスクはキャットタワーにももちろんあります。
我が家では今のところ定期的に登ってくつろいでいますが、いつか全く興味を示さないようになった時に粗大ゴミとなるでしょう。
家の中の景色が変わるため、設置してすぐはキャットタワーに近寄りすらしないこともあります。そして設置してから登るようになるまで1〜3ヶ月程度かかることもあります。頑張って設置して、しばらく見向きもされず、そして使われなくなる可能性もあります。
購入するにあたって、このリスクについては必ず一度考えてから買うようにしましょう。
キャットタワー設置のポイント
キャットタワーを設置する場所については、以下のような点を意識するとよいでしょう。
エアコンの風が届く場所
冬場になると猫は寒い場所を嫌い、暖かい場所を好みます。ですので、キャットタワーを暖房の風が届く場所に設置することで、愛猫が家の中の暖かい場所を確保しやすくなります。
また、飼い主としてもキャットタワーをより使ってもらえるようになるというメリットがあります。
リビング・仕事部屋など、滞在時間の長い場所
なるべく目の届かない場所に長居されると少し不安になります。そのため、リビングや仕事部屋といった自分がよく滞在する部屋に設置するとよいでしょう。
別の部屋だと、自分・猫どちらのためにもエアコンを動かす必要がありますが、1部屋にまとめることで光熱費の節約にもなります。
ただし寝る際に寝室へ連れて行くことなどを考えると、連れて行くことが少し手間になる可能性もあります。
寝室はダイブされない場所に
時より、猫は寝ている飼い主の上に高所からダイブしてきます。
寝室に設置する場合は、愛猫がベットにダイブしやすい場所を避けて設置する方が自分の身のためにもよいでしょう。
まとめ
自宅で働く上で、愛猫がストレスなく過ごせる空間を作ることはとても重要です。仕事中に猫が運動不足やストレスから問題行動を起こして作業を中断させられないようにも、キャットタワーを設置して愛猫が気兼ねなく運動できる場所を用意しましょう。